同志社フェアin横浜

横浜港を見渡すほどの好天に恵まれ「同志社フェアin横浜」が、12月1日に、横浜市中区にあるパシフィコ横浜会議センターで開催されました。

主催同志社大学、共催同志社校友会が地元の同校友会神奈川県支部と共に準備を行い、県教育委員会、神奈川新聞社などの後援により実現に至りました。
京都に拠点を置く同志社大学ですが、実は神奈川県や横浜市とも関係があること知っていただきたい、同志社大学の『建学の精神「良心教育」』をはじめ、特徴的な取り組みと伝統ある私学の魅力を身近に感じてもらいたい、若い方々に同志社大学を目指していただきたい、そして人を大切にしつつ広く自由に活躍する人材を輩出したい、といった趣旨を踏まえながら企画されました。
「第一部 地域交流イベント」には約四〇〇人の参加があり、興味深そうに耳を傾けている姿を多く見かけることができました。また、遠方から観光を兼ねて訪れた方もあり、母校の思い出と共に現在までの発展と将来性を期待するO Bの方々による温かい雰囲気を感じました。
開催地の横浜は、創立者新島襄が横浜港へ帰国してちょうど150周年となる節目の年に当たります。そして、来年2025年には、同志社大学創設150周年を迎えます。また、開港初期の横浜港国際化に尽力し、今では観光名所にもなっている赤レンガ倉庫を整備したのは、同志社大学卒業の4代目横浜市長市原盛宏でした。

第1部 地域交流イベント
初めに小原克博学長から大学紹介があり、2011年に始まった「同志社フェア」により毎年全国へ向け同志社の活動や魅力を伝え訪問先との交流を行ってきたこと、今回は、新島襄帰国150周年を記念して、横浜を選んだこと、新島襄終焉の地も神奈川県大磯町であることを紹介されました。今回の講演テーマは「時代を切り拓く」として、理科系における先端技術開発の挑戦的な活躍を紹介しますが、根底には「建学の精神」を踏まえ専門性分野よる学術の追求ではなく、全体像を見極め人文社会系とも連携し、文理融合による「知の追及」を目指していることを強調されました。
続く同志社校友会松岡敬会長からは、全国約37万人の卒業生が「良心を手腕」に知性、気品をもちそのことを誇りをもって活躍することが、同志社大学の魅力に繋がること、その自由な校風の背景には責任を伴う、と述べられました。
講演会では、生命医科学部教授廣安知之副学長がファシリテーターとなり、理工学部教授後藤琢也副学長と渡辺公貴生命医科学部教授による宇宙資源利用と月面探査ロボット「SORA―Q」を開発し、2024年1月に日本初の月面探査に成功したことについて、成功するまでの経緯や課題の説明がありました。玩具メーカー、J A X Aなどとの共同開発は挑戦の連続であり、新島襄の人間観「深山大沢」(「深山大沢実生龍蛇」新島襄晩年の愛唱句 出典中国古典『春秋左氏伝』))の言葉)に励まされ、小原学長による「冒険」が重要を思い起こし実現させることができた、と見学の精神の重要さを語っていました。
続いて、佐藤健哉理工学部教授は、中山間地域をはじめ郊外部の高齢化社会における安全な移動について自動運転バスなど自動運転の社会実装を目指して研究活動をされています。企業における情報革命により人を幸せにするためには、技術者だけでは社会に普及できない、人文系と共にコストをいかに下げるか、社会にどう受け入れられるか、といった社会的受容性には心理学の観点からも重要であり、規制緩和など法律面や事故対応など保険設計も必要である、と総合的な観点が求められる、とのことでした。廣安副学長は、脳機能解析や脳活動データ解析を進めながら、自動車運転中の注意散漫度の予測なども行っておられ、各研究者の連携により多岐に渡る応用分野での活躍がさらに期待されていく、とのことでした。これらの研究活動の背景に新島襄の精神が生かされていることが、会場の参加者へ伝わったように思われました。
フェアの後半は、全国日本学生選手権において過去の應援團部門で優勝を果たした実績をもつ「同志社大學應援團チアリーダー部」による演舞は一人ひとりが輝き情熱的で迫力があり会場を魅了していました。同志社らしさが心に響く演舞でした。

 

そして、最後は同志社大学軽音楽部の演奏に、神奈川県内で最も伝統と実力があると評価されている神奈川県立横浜氷取沢高等学校ジャズ部36人が合流し、それぞれの演奏の後合同演奏で会場を盛り上げました。同志社大学軽音楽部は、全国学生大会において、毎年全国2位、3位とたいへんな好成績を獲得しています。しっとりとしたフュージョン系の曲から始まり、続く高校生は元気で迫力ある演奏の曲目に、同志社大学と参加者を歓迎する意味を込め、横浜ガス灯発祥の町「馬車道」をテーマにした曲を演奏しました。合同演奏では大学生と高校生が交互に独奏、続いてクリスマスソングメドレーで和みました。最後アンコールに応え、力強く締めくくり、同志社フェアは見事盛会に終了しました。
会場ロビーから夕焼けの横浜港を臨みながら散会し、校友は、「第二部卒業生交流レセプション」会場へ移りました。

第2部 卒業生交流レセプション
パシフィコ展示場に隣接する海側のレストランで行われ、約200人の参加者が共に港の夜景を楽しみながら、世代を超えて交流を深めました。次回のフェアは3月福井県で開催予定とのことです。

文/小山内いづ美(81年・文)
協力/同志社大学